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「地球外生命体」の発見に近づいた奇跡の星。

編集・制作:未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

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「地球外生命体」の発見に最も近い場所——氷の衛星が秘める地下の海

生命が存在できる場所についての、かつての前提

かつて科学者たちは、生命が存在できる場所には厳格な条件があると考えていました。恒星から「近すぎず、遠すぎない」距離——液体の水が保てる温度帯。これを**ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)**と呼びます。地球はちょうどその帯に収まっています。

この考え方に従えば、太陽から遠く離れた木星や土星のあたりは、生命にとって凍てつく荒野でしかありません。表面温度はマイナス150度を下回り、太陽光は地球の数十分の一。生命など望めないと、長らくそう考えられてきました。

深海の発見が「生命に太陽は必要ない」ことを示した

転機は1977年に訪れました。深海探査艇「アルビン号」が、太陽光の一切届かない水深2,500メートルの海底で、それまでの常識を覆す光景を目撃したのです。海底火山の裂け目から噴き出す熱水噴出孔のまわりに、光合成に頼らない生態系が広がっていました。

巨大なチューブワーム、白いカニ、無数の微生物。それらは太陽ではなく、地球内部の熱と化学物質をエネルギー源にして生きていました。生命に必要なのは太陽光ではなく、液体の水と、熱と、化学エネルギーである——この発見は、宇宙における生命探しの地図を根底から書き換えました。

それならば、氷の下に海を隠すあの遠い衛星たちはどうなのか。

エウロパ(木星の衛星): 地球の全海洋を上回る地下の海

木星の衛星エウロパは、地球の月よりわずかに小さい天体です。その表面は、無数の赤茶けた筋が走る、割れて再凍結したような氷で覆われています。1990年代に探査機ガリレオがこの衛星に接近し、決定的なデータを持ち帰りました。

エウロパの氷の殻の下には、深さ60〜150キロメートルにも及ぶ巨大な海が存在するとされています。その水の総量は、地球の全海洋の約2倍にのぼると推定されています。表面を厚さ10〜30キロメートルの氷が覆い、その下で液体の海が保たれているのです。

なぜ凍りつかないのか。鍵は木星の潮汐力にあります。巨大な木星の重力がエウロパを絶えず引き伸ばし、変形させる。この摩擦熱が内部を温め続けているのです。太陽ではなく、惑星の重力が海を維持していることになります。

エンケラドゥス(土星の衛星): 宇宙空間に噴き出す水が分析された

さらに注目されているのが、土星の小さな衛星エンケラドゥスです。直径わずか500キロメートルほどのこの氷の天体の南極から、土星探査機カッシーニは**宇宙空間へ噴き上がる水の噴煙(プリューム)**を発見しました。

カッシーニはその噴煙の中を直接通過して成分を分析しました。検出されたのは、水、塩分、二酸化炭素、そしてメタンや水素分子、複雑な有機化合物でした。これらは、地球の熱水噴出孔の周りに生息する微生物が利用する、あるいは代謝として産出する物質と共通点が多いものです。

つまり、エンケラドゥスの海底では今この瞬間も熱水が噴き出し、生命のエネルギー源となりうる化学反応が起きている可能性が高いとされています。私たちはすでに、その海の成分を間接的に「味見」してしまった状況にあります。

「条件が揃っている」と「生命がいる」の間にある距離

ただし、ここで整理しておく必要があります。生命に必要な材料が「揃っている」ことと、生命が「実際に存在する」ことは、まったく別の話です。化学物質は、生命の関与なしに生成される場合もあります。現時点で私たちが持っているのは、状況証拠の積み重ねです。

それでも、その状況証拠は注目に値します。液体の水。熱エネルギー。有機物。地球外生命の存在に必要とされる三つの条件が、ハビタブルゾーンの遥か外側に位置する氷の衛星に、すべて確認されているのです。

現在進行中の探査計画

人類は観測だけにとどまらず、直接確かめる段階に入りつつあります。2023年に打ち上げられた欧州の探査機JUICE(ジュース)は2031年に木星圏へ到達し、エウロパやガニメデの氷殻を詳細に調べる予定です。NASAのエウロパ・クリッパーは2024年に旅立ち、2030年にエウロパへ到着、約50回の接近観測で氷の下の海を探ります。

これらの探査機が狙うのは、噴煙の直接採取、氷の厚さの精密測定、海の塩分や有機物の検出です。数年のうちに、「あの海に何があるのか」について、より決定的な手がかりが得られる可能性があります。

もし生命が見つかった場合の意味と、残る謎

仮にエンケラドゥスやエウロパの海で、たった一つでも微生物が見つかれば、それは人類史上最大の発見になります。生命が二つの異なる天体で独立に誕生したということになれば、宇宙における生命の発生が普遍的な現象である可能性が大きく高まるからです。

一方で、解かれていない問いも数多くあります。光のない世界で何十億年も独自に進化したとすれば、それは地球の生命とどれほど異なる姿をしているのか。そもそも私たちが「生命」と定義できる形をしているのかどうかも、現時点では分かりません。

さらに視野を広げれば、氷に覆われた海洋天体は太陽系に限りません。宇宙には恒星から遠く離れて漂う氷の天体が無数に存在します。ハビタブルゾーンの概念そのものを見直す必要があるとすれば、宇宙における生命の可能性は私たちがこれまで考えてきた規模をはるかに超えるかもしれません。

現時点で確かなのは、「生命は太陽のそばにしか存在できない」という前提が崩れ、探索の対象が太陽系の外縁まで広がったということです。その答えが出るのは、近い将来かもしれません。

参考・情報源

本記事は、以下の公的機関・専門機関が公開する観測データや研究成果を参考に、 編集部が制作しています。最新の研究状況や一次情報については、 各機関の公式サイトもあわせてご確認ください。

※ 当サイトの内容の正確性には万全を期していますが、 科学的知見は日々更新されます。最新かつ正確な情報は、上記の一次情報源をご確認ください。 編集方針の詳細は編集方針・運営者情報をご覧ください。

未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

NASA・ESA・JAXA・国立天文台などの公的機関が公開する観測データや研究成果をもとに、 宇宙科学のテーマをわかりやすく編集・制作しています。内容に誤りを見つけられた際は、 お問い合わせよりご指摘ください。

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