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天の川銀河公開 更新 1

私たちは、宇宙を駆け抜けていた。

編集・制作:未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

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私たちは宇宙を時速80万キロで移動している——銀河公転の基礎知識

地球が「静止」していないという事実

今この文章を読んでいる間、あなたは椅子に座って静止しているように感じているはずです。しかし実際には、地球は秒速約30キロで太陽のまわりを公転しており、太陽そのものが銀河系の中心を秒速約220キロ——時速にして約80万キロ——で移動しています。旅客機の巡航速度と比べると、800倍以上の速さになります。

私たちは生まれてからずっと、一度も宇宙空間で止まったことがありません。

天の川銀河の形と、太陽系の位置

「天の川」の正体が判明するまで

夏の夜空を横切るあの淡い光の帯——天の川——の正体が突き止められたのは、意外と最近のことです。1610年、ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を天の川に向けると、ぼんやりした光が無数の星の粒に分解されました。正体は、夥しい数の星の集まりでした。

その後18世紀、天文学者ウィリアム・ハーシェルは星の分布を丹念に記録し、私たちの星の世界が平たい円盤状であることを示しました。天の川が「帯」に見えるのは、私たちがその円盤の内側に住んでいるためです。円盤を真横から眺めれば、星々は一本の帯に重なって見えます。

太陽は銀河の中心から外れた場所にある

この円盤——天の川銀河(銀河系)——の直径は約10万光年とされています。そこには2,000億〜4,000億個の恒星が存在すると推定されており、太陽はそのうちの一つに過ぎません。

20世紀初頭、天文学者ハーロー・シャプレーは、太陽が銀河の中心にあるのではなく、中心から約2万6,000光年離れた位置にあることを明らかにしました。いわば銀河の郊外、渦巻く腕の片隅です。

銀河公転とは何か——数字で見るスケール

太陽系が銀河を一周する時間

地球が太陽を約1年で一周するように、太陽系も銀河の中心を周回しています。これを銀河公転と呼びます。速度は秒速約220キロですが、軌道があまりにも巨大なため、一周にかかる時間はおよそ2億2,500万〜2億5,000万年とされています。

この一周を**銀河年(ギャラクティック・イヤー)**と呼びます。この単位で測ると、いくつかの数字が際立ちます。

  • 太陽が前回、現在と同じ位置にいたとき、地球上では恐竜が登場する直前の時代でした
  • 太陽の年齢は約46億年ですが、銀河をまだ約20周ほどしかしていない計算になります
  • 現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生して約20万年。銀河年に換算すると、0.001周にも満たない時間です

銀河中心にある超大質量ブラックホール

太陽系が周回するその中心には、**いて座A*(エー・スター)**と呼ばれる超大質量ブラックホールがあります。質量は太陽の約400万倍とされており、2022年には人類で初めてその「影」の撮影に成功しています。

ただし、太陽系を銀河に繋ぎとめているのは、このブラックホールの重力だけではありません。銀河全体に広がる無数の星々と、目に見えないダークマター(暗黒物質)——光を放たず重力を通じてのみ存在を示す未知の物質——の重力が合わさって、太陽系の軌道を保っていると考えられています。

太陽の軌道は単純な円ではない

太陽の軌道は、銀河円盤上の単純な平面円ではなく、円盤の上下に波打つように揺れながら進んでいます。周期は約3,000万〜7,000万年とされており、円盤面を周期的に上下に貫く運動を繰り返しています。

銀河についてまだわかっていないこと

渦巻き構造がなぜ維持されるのかは諸説ある

天の川銀河は渦巻き状の構造を持ちますが、そのしくみには謎が残っています。銀河の内側は外側より速く回る(差動回転)ため、もし渦の腕が物質そのものでできているなら、何回転かするうちに腕は巻き込まれて消えるはずです。

現在有力な説は密度波理論で、渦の腕は物質の固定した集まりではなく、交通渋滞のように星やガスが一時的に密集する「波のパターン」だという考え方です。星々は腕を通り抜けながら進み、腕というパターン自体はゆっくり回転します。ただし、渦巻き構造のメカニズムは完全には解明されていません。

ダークマターの正体は未解決のまま

20世紀、天文学者ヴェラ・ルービンが銀河の回転速度を精密に測定したところ、銀河の外縁部が見えている物質の重力だけでは説明できないほど速く回っていることが判明しました。目に見えない巨大な質量——ダークマター——が銀河全体を包み込んでいると仮定しなければ、外縁部の星は遠心力で飛び散ってしまうはずです。

ダークマターの正体は現代物理学の主要な未解決問題の一つであり、現在も特定されていません。

アンドロメダ銀河との衝突

現在の観測では、天の川銀河はお隣のアンドロメダ銀河に向かって秒速約110キロで接近しています。約40億〜45億年後には二つの銀河が衝突・合体し、新たな銀河「ミルコメダ」を形成すると予測されています。

星と星の間隔はきわめて広いため、個々の星同士が直接衝突する確率はほぼゼロとされています。ただし夜空の見え方は大きく変わり、二つの銀河の渦が重なり合う光景が生まれると考えられています。

スケールを整理する:私たちの位置

人の一生を80年とした場合、太陽系が銀河公転で進む距離は約5,500億キロになります。それでも銀河一周のわずか約0.00003%に過ぎません。

スケールが大きすぎて実感しにくいかもしれませんが、これは銀河という構造の巨大さを示しています。同時に、現在の私たちが銀河についてわかっていることはまだ多くなく——渦の維持機構、ダークマターの正体、銀河形成の詳細——未解明な問いが積み残されているのも事実です。

まとめ:わかっていることと、まだわからないこと

銀河公転についてわかっていることは、おおよそ次のとおりです。太陽系は秒速約220キロで銀河中心を周回しており、一周に約2.25〜2.5億年かかります。銀河中心には超大質量ブラックホールがあり、銀河全体の重力構造にはダークマターが深く関わっています。

一方で、渦巻き構造を維持するしくみの詳細や、ダークマターの物理的正体は未解決のままです。私たちは宇宙の精密な地図をまだ持っておらず、太陽系の軌道についても観測精度の向上とともに数値の更新が続いています。

確かなのは、地球の地面の下も、窓の外の空も、すべて秒速220キロで移動する構造体の一部であり、その事実は私たちが気づくかどうかに関係なく成立し続けているということです。

参考・情報源

本記事は、以下の公的機関・専門機関が公開する観測データや研究成果を参考に、 編集部が制作しています。最新の研究状況や一次情報については、 各機関の公式サイトもあわせてご確認ください。

※ 当サイトの内容の正確性には万全を期していますが、 科学的知見は日々更新されます。最新かつ正確な情報は、上記の一次情報源をご確認ください。 編集方針の詳細は編集方針・運営者情報をご覧ください。

未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

NASA・ESA・JAXA・国立天文台などの公的機関が公開する観測データや研究成果をもとに、 宇宙科学のテーマをわかりやすく編集・制作しています。内容に誤りを見つけられた際は、 お問い合わせよりご指摘ください。

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