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地球の自転が止まった時の衝撃

編集・制作:未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

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地球の自転が止まったら何が起きるか

私たちは今も時速1,400キロで移動している

この床は静止しているように感じられますが、実際には日本付近の中緯度でも地面は時速およそ1,400キロメートルで東へ動いています。旅客機の約1.5倍の速度です。赤道上では時速約1,670キロメートルに達し、ライフル弾と同程度とされています。

地球の自転は生まれた頃から続いています。約46億年前、宇宙空間に漂うガスと塵の雲(原始惑星系円盤)が重力で集まる際、ごくわずかな回転が存在しました。中心に向かって質量が集まるとき、角運動量保存の法則によってその回転は加速されます。フィギュアスケーターが腕を縮めると回転が速くなる、あの原理です。誕生当初の地球はわずか6時間ほどで1回転していたと考えられています。

月が46億年かけて自転にブレーキをかけてきた

現在の1日が24時間になった理由は月にあります。月の重力は地球の海を引っ張り、潮の満ち引き(潮汐)を生み出します。この海水と海底の摩擦が自転に継続的な抵抗をかけており、1日は100年あたり約1.7ミリ秒ずつ長くなっています。

微々たる量に見えますが、恐竜が栄えた約1億年前の1日は23時間ほどしかなかったとされています。私たちが「当たり前」と感じている24時間制は、46億年かけて減速してきた過程の、現時点での値に過ぎません。

自転が突然止まった場合に物理的に起きること

自転が瞬時に停止するというシナリオは物理的にはありえませんが、思考実験として科学的に考えてみます。最大の問題は慣性です。地面が止まっても、その上にあるものは止まりません。

地表のすべてが東へ超音速で投げ出される

地面の速度が消えた瞬間、地表に固定されていないすべての物体は、それまでの速度のまま東へ動き続けようとします。中緯度なら時速約1,400キロ。これは超音速に近い速度です。建物の土台は引きちぎられ、岩盤も含む地表のあらゆるものが東方向へ叩きつけられます。

大気は地表との間で超音速の風を生む

大気も同様に慣性を持つため、停止した地面との間に時速1,000キロを超える風が生じます。この風は地表を削り、構造物を破壊する世界規模の嵐となります。摩擦熱によって大気温度は急上昇し、広域的な火災が起きるとされています。

海水の再分配で赤道が沈み、極地に陸が現れる

地球が自転しているため、海水は遠心力でわずかに赤道方向へ膨らんでいます。自転が止まればこの膨らみを支える力が消え、海水は両極へ再分配されます。シミュレーション上では、極地周辺に新たな陸地が現れ、赤道付近は深海に沈むという大規模な地形変動が想定されています。沿岸部へは高さ数百メートルから数キロメートルにも達するとされる**超巨大津波(メガツナミ)**が押し寄せます。

現実の自転は一定ではなく、今も研究が続いている

1日の長さはミリ秒単位で変動している

地球の自転速度は厳密には一定ではありません。地球内部の外核(溶けた金属の層)の動き、巨大地震、大気や海洋の循環によって、1日の長さはミリ秒単位で常に変動しています。2011年の東日本大震災では、質量分布の変化により1日が約1.8マイクロ秒短くなったと計算されています。

2020年以降、自転がわずかに速まっている(原因は未解明)

長期的には減速しているはずの地球ですが、2020年以降、わずかに自転が速まっていることが観測されています。2024年7月には観測史上最も短い1日が記録されました。地球内部の核の運動や、極地の氷の融解による質量再分配が関係しているとする説がありますが、現時点で決定的な原因は特定されていません。

うるう秒が2035年までに廃止される

自転速度の微妙なずれを補正するため、これまで世界標準時にはうるう秒(1秒を加減する調整)が導入されてきました。しかし自転の変動が予測困難になり、コンピューターシステムへの影響が問題視されたことから、2035年までにうるう秒を廃止することが国際的に決定されています。地球の気まぐれな回転と、人類の精密な時計の折り合いは現在も続いています。

遠い将来、地球は月に対して同じ面を向け続けるようになる

ごく遠い未来には、潮汐相互作用が進んで地球の自転と月の公転が完全に同期し、地球は月に対して常に同じ面を向ける潮汐ロックの状態になると予測されています。その時の1日は現在の約50日分に相当するとされています。ただしそれは数百億年先のことであり、それ以前に太陽が膨張して地球を呑み込む可能性が高いとされています。

自転が日常環境に与えている影響

自転は生活の基盤を静かに支えています。昼と夜の規則的な交代は地表温度を穏やかに保ち、生命が暮らせる環境を維持しています。自転が止まれば、太陽に向いた面は灼熱に、反対側は極寒の闇に固定されます。

コリオリの力(回転する物体の上で動くものが曲げられる効果)は台風の渦を生み、偏西風を吹かせ、海流を循環させています。これらが地球全体の熱輸送を担い、気候バランスを保っています。さらに、自転によってかき混ぜられる地球内部の金属が地磁気を生み、太陽からの有害な放射線を防ぐ役割を果たしています。

まとめ:自転は止まっていないが、一定でもない

地球の自転が突然止まるシナリオは物理的にありえないものの、思考実験としてその影響を辿ると、慣性・大気・海洋それぞれが連鎖的な破壊をもたらすことがわかります。一方で現実の自転も、私たちの感覚では捉えられないほど微細な変動を続けており、その原因の一部は今なお解明されていません。地球の回転は単純な定数ではなく、内部構造・月・海洋・大気が絡み合う複雑な動的系の産物です。

参考・情報源

本記事は、以下の公的機関・専門機関が公開する観測データや研究成果を参考に、 編集部が制作しています。最新の研究状況や一次情報については、 各機関の公式サイトもあわせてご確認ください。

※ 当サイトの内容の正確性には万全を期していますが、 科学的知見は日々更新されます。最新かつ正確な情報は、上記の一次情報源をご確認ください。 編集方針の詳細は編集方針・運営者情報をご覧ください。

未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

NASA・ESA・JAXA・国立天文台などの公的機関が公開する観測データや研究成果をもとに、 宇宙科学のテーマをわかりやすく編集・制作しています。内容に誤りを見つけられた際は、 お問い合わせよりご指摘ください。

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