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宇宙物理学公開 更新 1

138億年前に灯った「一番星」を、人類はついに見つけた。

編集・制作:未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

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宇宙最古の星「ファーストスター」とは何か——その誕生・死・そして現在の探索

夜空に広がる無数の星は、じつはすべて「二代目」以降の存在です。それらより前に、宇宙で最初に輝いた星があるはずです。天文学者はそれを**ファーストスター(初代星)**と呼びます。2020年代に入り、人類はその痕跡の探索をいよいよ本格化させています。

星が生まれる前の宇宙——「暗黒時代」と呼ばれる数億年

宇宙の歴史は約138億年前のビッグバンに始まりますが、最初から星があったわけではありません。

ビッグバンから約38万年後、宇宙が十分に冷えると、陽子と電子が結びついて水素原子が生まれました。この瞬間、光が霧の中を散乱させられる状態から解放され、まっすぐ進めるようになります。この最初の光が、現在も観測される**宇宙マイクロ波背景放射(CMB)**です。

しかしその後、宇宙は長い沈黙に入りました。自ら光を放つ天体が一つも存在しない時代が続いたのです。この時期を天文学者は**「宇宙の暗黒時代(Dark Ages)」**と呼んでいます。

当時の宇宙を満たしていたのは、ほぼ**水素(約75%)とヘリウム(約25%)**だけでした。現在の宇宙にある重い元素——酸素、炭素、鉄など——は、ただの一かけらも存在していませんでした。重元素は星の内部でしか合成されないため、最初の星が誕生するまでは、宇宙の化学組成はほぼこの2種類に限られていたと考えられています。

ファーストスターの特徴——現在の星と何が根本的に異なるのか

ファーストスターは、専門的には**「種族III(Population III)の星」**と呼ばれます。現在の星とは、その組成と規模において決定的な違いがあったと推測されています。

質量が極めて大きくなる理由

現在の星形成では、ガス雲が収縮する際に重元素が「冷却材」の役割を果たします。ガスが効率よく冷えることで、ガス雲は小さく分裂し、太陽程度のサイズの星が多数形成されます。

ところがファーストスターの材料となったガスには、この冷却材となる重元素が含まれていませんでした。純粋な水素とヘリウムだけのガス雲は冷えにくく、分裂もしにくいため、一か所に大量のガスが集まり続けます。その結果、太陽の数十倍から、推定で数百倍にも達する巨大な星が形成されたと考えられています。

表面温度と輝き方

質量が大きいほど、星の中心部の温度と圧力は高くなり、核融合が激しく進みます。ファーストスターの表面温度は10万度近くに達した可能性があるとされており(太陽の表面温度は約6,000度)、赤や黄色ではなく青白い強烈な光を放っていたと推測されます。

重元素という不純物を一切含まない、水素とヘリウムだけから成る星——それがファーストスターです。

短命な一生と超新星爆発

巨大な星ほど燃料の消費が速く、寿命は短くなります。ファーストスターはわずか数百万年で燃料を使い果たしたとされています。これは138億年という宇宙の歴史からすれば、ごく短い時間です。

その最期は超新星爆発だったと考えられており、特に質量が太陽の130〜250倍ほどの星は「対不安定型超新星」と呼ばれる、星を完全に吹き飛ばす規模の爆発を起こしたと推測されています。

この爆発によって、星内部で合成された炭素・酸素・鉄などの重元素が宇宙空間へ放出されました。それらの元素が次世代の星や惑星の材料となり、最終的には地球の岩石や生命体の構成要素にも組み込まれていきます。現在の私たちの体を構成する原子の一部も、そのような恒星の核融合と爆発を経て生まれたものです。

JWSTによる探索——現時点でわかっていることと、まだわかっていないこと

長らくファーストスターは「理論上の存在」にとどまっていました。138億光年かなたの光は遠すぎ、暗すぎたからです。

状況が変わりつつあるのは、2021年末に打ち上げられた**ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)**の稼働によるところが大きいです。口径6.5メートルの赤外線望遠鏡であるJWSTは、宇宙膨張によって波長が引き伸ばされ赤外線になった古代の光を観測するために設計されています。

JWSTは観測開始からわずか数年で、ビッグバンから約3〜4億年後の銀河を次々と発見しています。その中には、理論の予測を超えて明るく、成熟して見える初期銀河も含まれており、天文学者を驚かせています。

研究者たちが特に注目しているのが、**ファーストスターの「化学的な指紋」**です。ファーストスターは水素とヘリウムだけから成るため、その光のスペクトル(光を波長ごとに分解したもの)には、重元素による吸収線がほとんど現れないはずです。重元素の痕跡が極端に乏しい光源が見つかれば、ファーストスターあるいはその直接の影響を受けた天体である可能性が高まります。現時点では、ヘリウムに特徴的な信号や、金属量が異常に少ない古い星の候補がいくつか報告されはじめています。

ただし、多くのことはまだ未解明のままです。

  • 最初の星が誕生した時期・場所・数は、まだ確定していません。
  • ファーストスターが本当に太陽の数百倍もの質量を持っていたのか、それとも複数の小さな星として生まれたのかも、議論が続いています。
  • 単独の星としての直接観測は現状では極めて困難です。個々のファーストスターは暗すぎるため、重力レンズ(手前の天体の重力が光を拡大する現象)などの助けがなければ観測は難しいとされています。

まとめ——ファーストスター研究が問うていること

ファーストスターの探索は、宇宙の最初期に何が起きたかを知るための研究です。同時に、現在の宇宙の化学組成——つまり惑星や生命の材料がどこから来たのか——を理解するための出発点でもあります。

現在の観測技術では、ファーストスターそのものを直接見ることはほぼできていません。しかしJWSTが次々と届ける初期宇宙のデータは、その痕跡を少しずつ浮かび上がらせています。理論と観測の両面から、研究の最前線は確実に動いています。

わかっていること、まだわかっていないこと——どちらも正直に見ながら、この分野の進展を追い続けることには、十分な意味があります。

参考・情報源

本記事は、以下の公的機関・専門機関が公開する観測データや研究成果を参考に、 編集部が制作しています。最新の研究状況や一次情報については、 各機関の公式サイトもあわせてご確認ください。

※ 当サイトの内容の正確性には万全を期していますが、 科学的知見は日々更新されます。最新かつ正確な情報は、上記の一次情報源をご確認ください。 編集方針の詳細は編集方針・運営者情報をご覧ください。

未知なる宇宙科学 ARCHIVES 編集部

NASA・ESA・JAXA・国立天文台などの公的機関が公開する観測データや研究成果をもとに、 宇宙科学のテーマをわかりやすく編集・制作しています。内容に誤りを見つけられた際は、 お問い合わせよりご指摘ください。

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